サオリのヤマ

まちなかの並木・植栽の桜もいいけれど、ふぞろいなヤマザクラも好きです。

サクラという言葉には、花や樹木を宇宙的なメディアとしてみる感覚がよく表れている。春になると、山の神が里に下りてきて、田の神となって稲穂に宿る。山の生命力がフユに増え、ハルに張り切って里の方へとあふれだし、やがて稲となって結実する。その生命力が山から降りてくる兆し、眼にみえない力のあらわれが、ほかならぬ、山桜の開花だった。「サ」は穀神=田の神を意味し、「クラ」はその座、つまりちょうど山桜が色づくあたり、山と里の中間領域での、しばしの休息(トランジット)の場所ということらしい。ちなみに、この眼にみえぬ霊力がひたひたと降り来たるプロセスを”サオリ”、実りののちに再び山へと昇っていくのを”サノボリ”と呼んだ。竹村真一(著)「宇宙樹」

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