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「観光と地域社会」

吉田春生著 「観光と地域社会」(ISBN:4-623-04537-4)。
いま追い込みに入っている作業で大いに参考にしたい本だけれど、飛ばし読みしかできていないのが残念。
観光、地域社会(コミュニティ)などに関する時代変化と思想的な背景、先行する観光地の事例について理論的な分析が加えられている。\r\n参考文献には、「風土学」のオギュスタン・ベルグ、「トポフィリア」(場所への愛着)のイーフー・トゥアンとか、「内発発展論」の宮本憲一とか、青木保とか、懐かしい名前も並ぶ(敬称略)。
「地域社会」に「観光」という楔(くさび)を打ち込んで(打ち込まれることによって)、地域社会がどのように変化してきたのか(変化を強いられるのか)、について考察されている。

自立(自律)的に地域社会が生きるには他地域との交流や観光客の流入を考慮しないわけにはいかない。この推移は地域社会のあり方についてさらに幅広い考察が必要だとの感を懐かせる。
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観光をただ地域振興の一方策として考えるのではなく、つまり地域経済というひとつの要素だけで考えるのではなく、広義の地域社会を構成する4つの構成要素の相互・複合的な関係において考える姿勢が必要となってきたのである。
(※4つの構成要素とは、観光客、観光対象(観光資源)、観光媒体(移動手段と情報)、そして地域社会のこと。)
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地域社会を観光対象化することには慎重であらねばならない。自然・人文観光資源をそのなかに含んだ地域社会の限定された空間であれ、取り立てて目立っ た自然・人文観光資源は見当たらず、美瑛のように農村景観という地域社会のあり方そのものが観光客・観光媒体によって観光対象とされる場合であれ、その地 域社会がどのような意思を持っているかが重視されなければならない。(吉田春生著 「観光と地域社会」より)

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