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引用

茶色く色褪せた 1988年初版本。当時、鉛筆でたくさん線をひいていました。


中心と周縁の考え方は、対抗的でありかつ相補う関係にあるという矛盾したところに惹かれるのかもしれないと思います。

各々の文化はそれぞれの時代に特有の周縁部分を再生産して来ました。周縁部分は、洗練と秩序と反対の極をなす否定性の刻印を押されながらも、他者性の持つ多義的な豊穣性を再生産して来ました。その存続のために強靭な生命力を必要とする「他者性」は、秩序の解体を狙うエントロピーであると感じられて来ました。
しかしながら、我々は今日、エントロピーもそれ自体として存続するのではなく、構造のダイナミックスの中で形骸化した秩序に対する活性剤として存続することを知りつつあります。それに形骸化した秩序を「見なれないもの」に転化させ、より高度の宇宙論的調和を目指すための梃子と考えることができます。芸術は周縁の混沌に立ち向い、中心との狭間に自ら仲介者としての文化の死と再生に立ち会うでしょう。
山口昌男著「知の祝祭 文化における中心と周縁」

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