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贈与にかかる「倫理と知性」

「贈与は差出人に倫理を要求し、受取人に知性を要求する。」という一文が響きました。
近内悠太 著『世界は贈与でできている』 全体を通して、理解しやすく書かれており、楽しく読み進めました。

だから、そこには想像力が要請されます。
贈与は差出人に倫理を要求し、受取人に知性を要求する。
これは、本書の贈与論において、決定的に重要な主張です。
そして、倫理と知性はどちらが先かと問われれば、それは、知性です。
つまり、受取人のポジションです。
なぜなら、過去の中に埋もれた贈与を受け取ることのできた主体だけが、つまり贈与に気づくことのできた主体だけが再び未来に向かって贈与を差し出すことができるからです。

祈りとは、贈与の差出人の「届いてくれるといいな」という倫理でした。それは「届かない可能性」を前提とする態度です。

絶妙なバランスの上に成り立っている世界の社会システム。それを支える幾多の人びと(今風には、Essential worker と通じます)。そこからの贈り物を受け取っているという想像力があればこそ、社会に向き合い生きていくことができる、生きやすくなる、どう振る舞うべきかがわかる、と理解しました。

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